80系電車は国鉄では初となる長距離電車です。1934年に電化完成した東海道本線の東京~沼津間の客車列車を電車化する為、1950年初め頃に1次車73両が登場、最大15両編成で運転を開始しました。モーターはありませんが運転台がある3等制御車のクハ86形と、運転台はありませんがモーターがある3等中間電動車モハ80形が基本で、必要に応じ、2等中間付随車や3等中間付随車が組み込まれました。このような、運転台を最少にとどめて長編成を組む電車は、我が国初となりました。「湘南色」と呼ばれるオレンジと緑色のツートンカラーは、国鉄電車の標準色として定着していきました。一方、先頭部は1次車の3枚窓よりも、2次車以降の2枚窓の方が好評で、国鉄だけでなく私鉄でも、よく似た先頭車が次々と登場しました。80系は東海道本線の他、東北・高崎線や京阪神間急行電車(現・快速)にも投入されました。