ディロング

最も原始的なティラノサウルスの仲間です。白亜紀前期の1億2600万年前の地層から発見されました。顎と尾の近くの皮膚化石から羽毛の痕跡が見られますが、現在の鳥類のものとは違う原始的な羽毛で、中心の軸を欠く単純な糸状の構造でした。羽毛は保温の為にあったと見られています。模式標本は全長約1.6m程ですが、これは若い個体の全長で、完全に成長すると2m近くになった可能性があります。前足は進化したティラノサウルス科と異なり、長く3本指です。後ろ足も長く俊足ではあったものの、アークトメタターサルを進化させた後の時代のティラノサウルス亜科に比べると走行性能が低かったとする研究結果も存在しています。但しそれでも恐竜界全体では俊足な部類に入ります。中足骨はアークトメタターサルになりかけの状態であり、グループ内での進化の様子を知る手がかりになっています。頭蓋骨の解析の結果、薄い髄膜に保護されたS字型の脳を持っていた事が分かっており、これは厚い髄膜で保護された線状のティラノサウルスのものとは異なっています。片葉は巨大であり、ディロングが俊敏で平衡感覚に長けていた事を示す一方、嗅索は小さく、ティラノサウルスや後のティラノサウルス科程嗅覚が洗練されていなかった事を示しています。

分類:竜盤目獣脚亜目ティラノサウルス上科
名前の意味:皇帝の竜
生息年代:白亜紀前期
産地:中国
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